プロ野球では、オフシーズンになると来季の戦略補強がはじまりますよね。
オフシーズンには各球団が外国人選手の補強やFA宣言選手の補強を進めますが、最近はFA宣言やポスティングシステムを使って海外へ移籍する選手も多くなってきました。
2017年オフも大谷翔平選手がポスティングシステムを使ってメジャーへ移籍か?と話題になっています。
そんなポスティングシステムですが仕組みをご存知ですか?
また、FA宣言での海外移籍との違いを知っている人は以外にも少ないかもしれません。
…ということで、これを機にポスティングシステムとFAの違いをおさらいしておきましょう!
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ポスティングシステムとは?わかりやすく説明

まずは、ポスティングシステムについてみていきましょう。
ポスティングシステム導入の経緯は、1995年に野茂英雄選手が任意引退によってMLB(メジャーリーグ)へ入団したことや、1996年に伊良部秀輝選手がサンディエゴパドレスへのトレードを経てヤンキースに移籍したことキッカケで、1998年に「日米間選手契約に関する協定」に調印され、ポスティングシステムが成立した形となっています。
ちなみに、ポスティングは毎年11月1日から翌年2月1日まで申請が可能となっていますね。
移籍希望選手の所属球団は交渉権の対価となる上限2000万ドル(約2.3億円)の譲渡金を設定。NPB(日本プロ野球)のコミッショナーを通し、MLBのコミッショナーにその選手が契約可能であることを告知します。
ただ、2012年以前は、告知から4業務日以内に非公開入札制で最高金額を入札した球団に独占交渉権が与えられた為、当該選手に移籍球団を選ぶ権利がありませんでした。
ですが、現在はルールが改正され、告知の翌日から30日間の交渉期間が設けられ、譲渡金に応札する全球団が契約交渉を行うことが出来るようになっています。
かつては非公開入札による独占交渉権の獲得が出来たので、該当選手と契約条件が折り合わない…という可能性もありました。以前のポスティングシステムだと、独占交渉権を獲得した球団としか交渉ができなかったため、双方の折り合いがつかなければ、メジャー移籍を断念するしかなかったんですね。
このような経緯になった選手が岩隈選手ですね。その後、マリナーズに移籍し、活躍をしていますが、当時はアスレチックスが独占交渉権を獲得したものの、契約が折り合わず、メジャー挑戦が遅れた…という過去があります。
ですが、現在は応札した全球団と契約交渉が出来るので、このようなことは起こりにくく、選手にとっては健全なシステムになったと言えるでしょう。
しかし、ポスティングを容認した選手のNPB球団側からすると、非公開入札の時は高額の入札金を得ていたので、現在のシステムでは、見返りが少なくなる傾向となっています。
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FAとポスティングシステムの違いは?

では、ポスティングシステムでのメジャー移籍と、FA権を行使してのメジャー移籍ではどのような違いがあるのでしょうか。
FAとポスティングシステムの違いについては、以外に説明しろと言われても、イマイチ曖昧な人も多いと思いますので、ここで簡単に、資格獲得の条件についてや、旧所属球団への補償などの見返り、メジャー移籍する選手では、過去どちらが多かったのか…などについて説明していきます。
資格獲得の条件について
ではまず、「資格獲得の条件」の違いから説明していきます。海外( メジャー)移籍でのFA権取得については出場選手登録が9シーズン必要となります。つまり、出場選手登録が9シーズンであれば誰でも行使が可能という事ですね。
一方、ポスティングシステムについては出場選手登録の条件は無く、ポスティングシステムを利用することの承諾を所属球団から得られれば誰でも可能となります。
旧所属球団への補償等の見返りについて
続いて、「元々選手が所属していた球団への補償等の違い」について説明していきます。海外FAでMLBの所属球団への移籍の場合については、該当選手の所属球団への見返りは一切ありません。
選手が頑張って得た権利のため、球団としては何も見返りを得ることはできないんですね。
ですが、ポスティングシステムについては、該当選手の所属球団が設定した上限2000万ドル(約2.3億円)の譲渡金を見返りとして受け取ることができます。
まだFA資格を取得してない選手にも関わらず、球団が「ポスティングでメジャー挑戦してOKですよ!」と容認するわけですから、その分、見返りもあるわけなんですね。
海外FAとポスティングシステムでのメジャー移籍はどちらが多い?
これまでにも多くの選手が海を渡って、メジャー挑戦をしてきましたが、「海外FA」を使っての移籍と「ポスティングシステム」を使っての移籍だと、どちらの方がおおかったのでしょうか。まず、海外FAからですが、海外FAでメジャー(海外)へ移籍した選手は30人います。
一方、ポスティングシステムでメジャー(海外)に移籍した選手は15人となっており、ちょうど海外FAでの移籍の半数です。
近年では、「メジャー(海外)移籍と言えばポスティングシステム!」という印象が強いですが、意外にも海外FA権で海外移籍した選手の方が多いですね!
ただ、ポスティングシステムでのメジャー移籍をした、松坂大輔選手やダルビッシュ有選手等の有名選手の時に、(当時は非公開入札だったため)高額になり大きく報道されていた影響で、メジャー移籍と言えばポスティングという印象が根付いているかもしれませんね。
FAとポスティングシステムどっちが良いの?

以上、ここまでFAとポスティングシステムの違いについて、簡単に説明してきました。ただ、海外FAでのメジャー移籍と、ポスティングシステムでのメジャー移籍だったら、どっちのほうが良いのでしょうか?
個人的な意見もありますが、FAとポスティングシステムどちらが良いのかは一概には言えない気がします。大谷選手のようにNPBでもトップクラスで、すぐにでもMLBに移籍したい選手の場合は、MLB球団も譲渡金を準備してくれるので、出場選手登録条件が必要ないポスティングシステムの方がいいですよね。
ただ、一部NPB球団の中にも、ポスティングシステムを認めていない球団もありますから、選手からすると所属している球団によるところも大きいかと思います。
また、残念ながらトップクラスの選手…とはいい難い選手の場合は、MLBが見返り金を準備する必要のない、海外FAの方が移籍の可能性は高まるかと思います。
どちらにしても、NPBからMLBへ挑戦して活躍することは、私たちプロ野球ファンにとっても喜ばしいことですね!どういう経緯でメジャー挑戦するかは、その時の状況かと思いますが、選手にとっても球団にとっても、良いタイミングで挑戦してほしいものです。
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2000万ドルって、2.3億円なのか。
そんな、はした金で一流選手を早くリリースするメリットって球団にあるのかな?