プロに限らず、野球の世界では、たくさんのポジションをこなせる選手が重宝されます。


内外野を広くこなせる選手や緊急時に捕手を務めることが出来る選手など、チームに一人そうした「ユーティリティープレイヤー」がいてくれるとすごく頼もしいものですよね。


ある意味では、投手と野手両方で超一流の実力を発揮している日本ハムの大谷選手の「二刀流」も、究極のユーティリティープレイヤーと言えるのかもしれません。


しかし、


なんと、セ・リーグ中日ドラゴンズには、そんな大谷選手の「二刀流」を超える驚異の「六刀流」を実現している逸材がいるというのです。


六刀流?六つのポジションを守れる選手は全くいないわけではないと思うけど…と思われた方もいるかもしれませんが、この六刀流の使い手、選手ではありません。本業をブルペン捕手とする、ドミニカ出身のチームスタッフ、ルイス・フランシスさんなのです。


一体このルイスさんはどんな人なのか?ルイスさんがこなしている6つもの仕事とは何なのか?今回は中日球団を陰から支える「ユーティリティースタッフ」、ルイスさんについて紹介します。

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ルイスさんっていったいどんな人?どうして日本のスタッフに?


プロ野球 裏話 中日 ルイス 6刀流



1976年ドミニカ共和国で生まれたルイスさんは、カープアカデミー(ドミニカ共和国出身の選手はMLBに在籍していても年棒が安い傾向があり、また国内で非常に野球が盛んであるということに目を付けた広島東洋カープが、1990年にMLB球団のアカデミー制度を参考にした設立した野球学校)を経て1997年に来日しました。


来日の目的は、当時三村敏之監督の指揮下にあったカープで捕手としての入団テストを受けることでした。アカデミー内で目立った成績を残し、素質に注目されてのテスト受験でしたが、残念ながらルイスさんは入団テストに合格できず、選手としての契約には至りませんでした。


しかしその時、カープ球団から「裏方としてチームに残りたいのであれば残ってもいい」というオファーを受けます。


もともと日本の上下関係や教育といった文化面が好きだったというルイスさんはこのオファーを承諾。その年からカープ所属のブルペン捕手としてのキャリアをスタートさせます。


ブルペン捕手という仕事はただボールを受けるだけというものではなく、投手に気持ち良く投げてもらうために声をかけたり、首脳陣に各投手の状態を伝えて起用法の参考としてもらうなど、仕事を行う上で非常にコミュニケーションが重要になってくる役割です。


ルイスさんはそうしたブルペン捕手としての役割を果たすうちに、非常に流ちょうな日本語を話せるように。そのままカープで10年間務めあげると、2007年、今度は中日から「ブルペン捕手兼スペイン語通訳」として声がかかります。それを受けて中日へ移って以来、ルイスさんは今も中日のチームスタッフとして働かれているのです。


ルイスさんの日本語がすごい!「平田選手より上手い」!?


プロ野球 裏話 中日 ルイス 6刀流


もともと日本文化を愛していたこともあり、広島での10年間で日本語を非常に堪能に話されるようになったルイスさん。いかにその日本語が達者かということを示すエピソードをいくつか紹介したいと思います。


まず一つは、


初対面の記者に対し、ルイスさんの方から敬語を交えて気さくに挨拶した


というもの。敬語を難なく操っているということもまず一般的な感覚からすれば驚きなのですが、ルイスさんの方から挨拶をした、というところから、日本の文化、あるいは感覚と言ったところへの深い理解をうかがわせます。


同じ会社の上司と部下など、立場がはっきりした間柄では目下のものが先に挨拶を行うのが礼儀ですが、どちらが目上かはっきりしない関係であれば、先に挨拶をした方が好感を持たれるというもの。


記者と球団のチームスタッフという関係も、どちらかといえば「はっきりしない」間柄だと言えるでしょうから、そこで自分から挨拶を行うというルイスさんの姿勢は、単に日本語をうまく話せるというだけではなく、日本で良好な人間関係を築けるだけの感覚を持っていると言えるのではないでしょうか。


何か上から見下ろすような言い方になってしまいましたが、日本人の中にもこれが出来ない人(かくいう筆者も自信はありません)は多いと思います。ルイスさんの姿勢から学ばなくてはいけませんね。


エピソードの紹介に戻ると、


テレビの企画で「今どんな気持ちかを書いてください」と言われ、「今どんな気持ち」と書いて返した


これはルイスさんの日本語能力だけではなく、気さくな一面を感じられるエピソードですね。


よく考えてみれば、日本人に対して何でもない時に「今どんな気持ちですか?」と聞くような場面はなかなかありません。


いわばこれは「日本語が話せる外人」としてその人を見ているからこそする質問なのであって、それに対してありがちな「楽しいです」というような答えを返すのではなく、冗談交じりに「今どんな気持ち」と返したルイスさんは、ある意味「日本人の心」とでもいうような感覚と、ユニークなジョークのセンスの持ち主だということがわかります。


更に、こうしたルイスさんの日本語の達者さがファンの間でよく知られるようになるにつれて、


中日ファンの間では、「平田よりルイス君の方が日本語が上手い」と噂されている


というエピソードも。
2005年のドラフト一位で大阪桐蔭高校から入団し、今やチームの中心選手となった平田選手。今でこそチームのキャプテンを務めるほどの「頼れる男」ですが、若手の頃には緊張などもあってか、ヒーローインタビューで質問に対して考え込んでしまったり、質問とちぐはぐな答えをしてしまうということが度々あったそうです。


そういったことが何度か起こるうちに、既にテレビなどでも流ちょうな日本語を操る姿が紹介されていたルイスさんが取り上げられて、「平田よりもルイス君の方が日本語が上手いんじゃないか?」と中日ファンの間で噂されるように。


以降、ヒーローインタビューが覚束ない若手選手が出てくるたびに、「〇〇よりルイス君の方が~」という噂が冗談半分で流れるようになったそうです。


ルイスさんが非常にファンから愛されている、ということも伝わってくるエピソードですね。

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ブルペン捕手と通訳だけではなかった!ルイスさんのその他の仕事とは?


生まれながらの日本人にも勝るとも劣らないほど日本語に堪能で、また中日ファンの間でも愛されているルイスさん。


その日本語能力とキャッチャーとしてのキャリアを生かし、現在もブルペン捕手兼通訳としてチームを支えられているのですが、ルイスさんの仕事はこれだけではないのです。


まず、チームの打撃練習中には、打撃投手も務めます。


比較的若くて選手としての経歴を持つチームスタッフが打撃投手を務めることはあまり珍しくないのですが、通訳と打撃投手を兼任するというケースはなかなかないのではないでしょうか。


ブルペンでは投手の投球を受け、グラウンドでは打者に対して投げ、ベンチでは外国人選手の通訳を務める…。練習や試合の最中には休む暇もなさそうです。


更に、ルイスさんの仕事の範囲はグラウンド上に留まりません。自身がドミニカから来日した経験を活かし、助っ人外国人に対しての生活アドバイザーも務めているそうです。


アドバイスを行う範囲は、日本で生活をする際の心がけと言った基本的な部分から、料理の味付けの違いと言った毎日の暮らしに関わることまで幅広く行われているとのことで、中日に入団したドミニカ系外国人選手の中に日本に適応して長く活躍する選手が多いのは、このルイスさんの働きも一因を担っているのかもしれません。


また、正式に球団から任命されている役職も現在ではブルペン捕手兼通訳だけではなく、球団編成部の国際渉外担当も兼任されています。


つまり、海外スカウトとしての役割も果たしているということです。


例えば2008年から2012年まで中日に在籍し、先発ローテの一角を担っていたマキシモ・ネルソン投手を球団に紹介したのがルイスさんだそうですし、入団には至らなかったものの最速161キロ投手という触れ込みで中日の入団テストを受けたエディ・リベラ投手もルイスさんが見つけてきた選手であったとのことです。


もはや外国人選手に関わることならば何でもやっているというような印象すら受けるルイスさん。


しかも、それだけではまだ終わりません。オフにドミニカで行われるウィンターリーグに参加する日本人選手の案内役も務めているというのです。


オフシーズン、11月下旬ごろから例年行われるウィンターリーグは、日本に限らず各国の球団から期待の若手選手が派遣されることで知られています。


中日からは昨年高橋周平選手などが派遣されていました。こうした若手選手たちの向こうでの生活を案内するのもルイスさんの役目だということです。


見知らぬ土地で、世界各国の選手に囲まれてプレーすることになる若手選手にとっては、ドミニカ出身のルイスさんの存在は非常に心強い支えとなっているでしょう。

まとめ


ブルペン捕手、通訳、打撃投手、生活アドバイザー、海外スカウト、ドミニカでの案内役。ルイスさんが中日でスタッフとして果たしている役割は、実に一人六役。いわばスタッフ界の「六刀流」です。


例年ドミニカ出身の選手が多く入団することの多い中日ですが、彼ら選手が活躍している背景には、こうした「縁の下の力持ち」の存在が確かにあるのです。


普段は陽の目をみない裏方スタッフですが、こういう方のお陰で選手はおもいっきりプレーできているのですね!


もし、中日戦の時に球場に足を運ぶようなことがあれば、是非このルイスさんを探してみて下さい!


それでは最後までご覧頂き、ありがとうございました。

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