プロ野球選手をはじめ大学や社会人野球などで使用される木製バット。
では、選手達が使っているバットの素材は何から作られているのでしょうか?
一口に素材といっても、いくつか種類があり、それぞれに多様な特徴や違いがあるのです。また、バットの形状などによって、微妙な変化が生まれます。
今回はそんな木製バットの素材や種類についての特徴を徹底解説!そして気になるお値段も紹介します。
木製バットの材質となる木材は3種類

木製バットの素材、つまり材質となる木材は3種類といっていいでしょう。では、それぞれについて特徴や違いを解説します。
アオダモ
アオダモで作られた木製バットは「バット界の王様」とも呼ばれるほど。
アオダモは主に北海道が原産です。
ですが、過去の無計画な採取、またアオダモは成長して立派な樹木になるまでに約70年という歳月がかかることで、現在国内産は深刻な供給不足と言われています。
北海道が原産地といっても、木製バットに適しているアオダモが生息しているのは、道東の寒冷地でも雪が少ない太平洋側です。
木製バットに必要なしなりがよく、耐久力があり軽い性質ながら上質で折れにくい…ということがアオダモの特徴になります。
かつては、1年間でおおよそ10万本以上のアオダモがバットとして使われていた・・・という話ですから、希少になるはずですね。
近年では日本プロ野球選手会でも、アオダモを材質とした木製バットの安定した供給を目指しNPO法人「アオダモ育成資源の会」に育成パートナーとして参加しています。
毎年オールスターで、試合前に「アオダモ植樹セレモニー」が行われているのを観たことがある方も多いと思いますが、そのセレモニーもこの植林活動の一環として行われているのです。
ホワイトアッシュ
ホワイトアッシュはアオダモと同じ「トネリコ」という樹木の一種ですが、主に北米に生息します。
そのためか、アオダモよりは硬めなのが特徴です。
アオダモと比べるとしなりは劣りますが、反発力に優れている素材だと言われています。
硬すぎて折れやすいというデメリットもあるのですが、乾燥地では強い素材なので、主にアメリカなどメジャーリーガーはホワイトアッシュを材質としたバットを愛用している選手が多いようです。
あの松井秀喜さんも、メジャー移籍後はホワイトアッシュ製のバットに変えたというのはちょっとした有名な話ですね。
メープル
五大湖近くのカナダ産の樹木で、ロシアにもところにより良い樹木がある原生林の一種である有名な広葉樹です。
メープルシロップと言えばピンと来るのではないでしょうか。日本で言えば楓…つまり、もみじの一種でもあるのがメープルです。
ちょうど、アオダモとホワイトアッシュの中間的な材質を持ち、ホワイトアッシュのように丈夫で長持ちし、しなりもありますが、アオダモより硬めなので弾性や丈夫さに優れている素材でもあります。
その分、逆に言うとアオダモよりしなりはなく、ホワイトアッシュに似たような硬さを持つため丈夫といえどもアオダモよりも折れやすい…というのが、デメリットでしょうか。打ち損じによっては、手が痺れることが多い素材だとも言われていますね。
ですが、メープル製の木製バットは、アオダモとホワイトアッシュの良い点を併せ持った素材とも言えるでしょう。
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木製バットの形状の特徴って?

木製バットに限りませんが、バットには様々な形状があります。
特にグリップ・エンドの部分と、ヘッド部分のくり抜きの大きさでしょう。
グリップエンドの部分は細かく分けると十何種類にもなってしまいますが、大雑把な分け方をするなら、3種類ほどに分けられます。ここでは、3種類についてご紹介していきますね。
1 スラッガー型
グリップはやや細めでグリップエンドの形もはっきりとした丸型をしているのが特徴。
グリップエンドぎりぎりまでグリップが握れるので、シャープに振り抜けるロングヒッタータイプに適していると言われています。
2 中距離型
グリップは平均的な太さでやや滑らかさを持たせながらもグリップエンドで握りが自在に固定出来る、ミート打法が得意な中距離ヒッター向けです。
3 タイカップ型
太目のグリップエンドまでが繋がるような形状で、安定感のあるシュアなバッティングヒッターに適したタイプです。
また、ヘッドの部分も大まかに3つに分かれています。
1 ヘッドの部分を全く、くり抜かないタイプ
2 従来のヘッドの丸みの部分だけを切り落としたタイプ
3 バットの先を丸みの部分以外の周囲もくり抜いたタイプ
以上のように、形状によっても本当に様々です。
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木製バットの値段ってどのくらい?

木製バットの値段は、やはり材質によって異なります。近年、希少になりつつある国産のアオダモの木製バットは、かなりの値段がするといわれています。よく選手プロモデル用として販売されているアオダモの木製バットは中国産などのため、価格も低めで2万円もあれば手に入ります。
メープルやホワイトアッシュなどの素材は主流になりつつあり、数も出回っているので、価値としては国産のアオダモほどではない…と言った感じです。高校野球でも近年木製バットで練習したりする選手も増えていますが、木製バットも1万もせず買えるぐらいですね。
高校生や一般の人達が使う木製バットは1本の木から4~5本作れますが、一流のプロ選手のバットともなると最低5本の木から1本作るのがやっとです。
そして、近年では、アオダモ製のバットを使用する選手はかなり希少になりました。
あのイチロー選手もアオダモバットの愛用者として有名ですが、イチロー選手のバットに値段をつけるとしたら、最高40万ほどするのだそうです。
日本のプロ野球選手の場合はメーカーと契約を結んでいれば自費でバットなどの用具代を払うことはありませんが、そういったスポンサーのつかない2軍や育成の選手の場合は、自費でバットを購入したりもしています。
おおよそ3万円位といわれていますが、最近はスター選手の先輩から貰ったり、球団が援助をすることもあるそうですよ。
まとめ
木製バットの素材や形状、さらに値段などについてご紹介しました。素材の木も、どこの原産かで良質かどうかが決まるため、良質であればあるほど、やはり値段も高価になるようですね。
また、これに重さや長さの違いが加わるのですから、テレビなどでプロ野球選手が使用しているバットも、良く観てみると各選手の違いが分かって面白いのではないでしょうか。
それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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