2014年に彗星のごとく現れ、3割29本塁打を記録して一躍スター選手になると、昨年は史上初となるトリプルスリーと本塁打王の獲得を同時に達成。
今や現時点での日本人最高野手という声も多く聞かれるヤクルトの山田哲人選手。
今シーズンも本塁打・打点でリーグ1位、打率で2位、更に盗塁で1位と圧倒的な成績を残し、しかも66試合消化時点で20本塁打・16盗塁と、2年連続のトリプルスリー達成へ大きく期待がかかるとともに、昨シーズンを超えるペースの成績を残し続けています。
ここまで高打率を維持しながら本塁打を量産し、更に盗塁を重ね続ける選手というと、これまでの日本球界ではほとんど例がなく、近い成績を残した選手を思い浮かべようとしてもなかなか名前が挙がりません。
果たして山田選手はこのペースでいけば今シーズンどんな成績を残すのでしょうか?また、歴代の「レジェンド」選手と比べるとどのくらいの位置につける成績になるのでしょうか?
まだ24歳ながら「生ける伝説」となりつつある日本球界の期待の星、山田哲人選手の今シーズン成績について調べてみました。
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六冠目前だったあの年のイチロー級!?山田哲人の成績を143試合換算してみた

まず、現在(6月13日時点)の山田選手の成績を挙げておくと、チームの消化した66試合に出場して打率.324、20本塁打、49打点、16盗塁、出塁率.433、長打率.656となっています。
今シーズンは143試合が実施される予定ですので、143÷66≒2.17。本塁打、打点、盗塁と言った「積み上げ系指標」を単純に2.17倍すると、43.4本、106.33打点、34.72盗塁となります。トリプルスリーどころか、40本塁打40盗塁の「フォーティ・フォーティ」達成にすら期待がかかる成績ということになります。
また先ほど書いたように本塁打打点盗塁は現在リーグトップ、打率は1位の巨人坂本選手と8厘差の2位、更に出塁率もリーグトップで安打数は広島菊池選手に2本差の2位となっており、打者に与えられる主要タイトル6つ(首位打者、本塁打王、打点王、盗塁王、最多安打、最高出塁率)の全てを十分に狙える位置につけています。
もしこの「打者6冠」を達成となれば過去には例がなく、山田選手がまた一つ日本球界の歴史に名前を刻むこととなります。
ちなみにこの打者6冠、惜しい成績としては1995年のオリックス時代にイチロー選手が記録した「5冠」が非常に有名で、この時は3本差で本塁打王のみ逃す結果となりました。
この時のイチロー選手のシーズン成績は、.342、25本、80打点、49盗塁、179安打、出塁率.432というもの。
山田選手の現在の安打数が80本なのでシーズン成績に換算すると173.6本。したがって小数点を四捨五入して取り払うと.324、43本、106打点、35盗塁、174安打、出塁率.433という数字に。
95年のイチロー選手と比較しても、打率、安打数、盗塁数こそ負けますが、本塁打打点では大きく上回り、出塁率も同等ということになります。
イチロー選手の伝説的な成績に対しても全く遜色のない数字だと言って間違いないでしょう。(ちなみに95年当時の試合数は130試合ですが、山田選手の本塁打、打点は130試合換算してもそれぞれ約39本、97打点ということになり、イチロー選手の数字を大きく上回っています。)
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前代未聞の成績?歴代の強打者とは比較不可能?
今シーズンの山田選手の成績がこのままのペースでいけば95年のイチロー選手と同等かそれ以上のものになる、ということは単純な数値の比較でもわかったのですが、更に比較を進めようとすると一つ問題があります。
ここまで多彩な分野でリーグトップクラスの成績を残した選手というのは過去を見てもイチロー選手以外にほぼ存在せず、単純な分野別の優劣を競う形では山田選手の成績がどのくらい優れているものなのか、ということを確かめることが出来ないのです。
例えば過去に三冠王を獲得した強打者たちと比べれば、恐らく盗塁数では山田選手がダントツに秀でていることになるでしょうし、逆に過去に打撃部門の成績と盗塁数を高いレベルで両立した選手と比較すれば、山田選手の本塁打数や打点数というものは大きく飛びぬけたものになるでしょう。
例えば55本塁打を放った年の王貞治選手や三冠王獲得時の落合博満選手と今シーズンの山田選手の成績を比較したいと思っても、このような形式では十分に比較することが出来ないのです。
そこで今回は、そんな問題を解決する総合指標、「RC27」を用いて山田選手の打者としての能力を歴代の選手と比較したいと思います。
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RC27って?山田選手の格付けはどこ?
RC27とは、野球においての成績を統計学的に分析しようとする手法、通称「セイバーメトリクス」で用いられる指標の一つであり、一言で言えば「その選手が27個アウトを取られるまでに何点の得点を稼ぎだすことが出来るか?」ということを示す数字です。
「セイバーメトリクス」は映画「マネー・ボール」が公開されて以来日本にも普及しつつある考え方なので、聞いたことがある方がいるかもしれません。出塁率と長打率を合計する「OPS」などはかなり名前を聞くことも増えてきましたよね。
RC27もOPSと同様に打者の得点能力を示そうとする指標の一つであり、こちらはOPSで反映できない走塁能力の優劣についても数字に反映される指標となっています。具体的な計算式は省きますが、打者の安打数や塁打数、盗塁数や犠飛の数などのそれぞれに様々な係数を掛けて算出される数字です。(これらの係数は、より忠実に得点能力を反映できるように専門家が設定したものです。)
こちらのRC27は、「27アウト取るまでの間」という数字によって成績が標準化されているので、異なる時代の異なる出場試合数の選手を比較する際にも有用です。そのため現在シーズン半ばの山田選手の成績を歴代の強打者と比較するにはうってつけの指標だと言えます。
さて、山田選手の現時点でのRC27を確認すると、10.39という数字が出ました。もちろんリーグトップです。要するに山田選手9人で打線を組むと、毎試合10点以上得点できるという計算になります。投手陣が相手打者を10点未満に抑えられればシーズン全勝ということに。とんでもない話ですね。
それではいよいよ歴代の強打者のRC27を見ていきましょう。歴代1位は、1974年の王貞治選手の14.98という数字。
…王選手9人を打線に並べれば一試合15点。もし現実になっていれば、シーズン全勝も夢ではない数字ですね。ちなみにこの年の王選手は三冠王を獲得するとともに、シーズン158四球、294出塁と言う空前絶後の記録を打ち立てています。出塁率も.532と、本当に出塁しない方が少ないというとんでもない数字です。(ただし、当時出塁率は非公式記録)
その後2位はNPB史上最高打率.389を記録した85年のバース選手が14.21で続き、3位は73年王選手の14.02…としばらく異次元の数字が続きます。
肝心の山田選手の10.39は歴代何位かと言うと、2002年ペタジーニ選手の10.46に続いて歴代41位という結果に。ちなみに同一人物を省いた順位としては歴代20位。NPBの80年以上の歴史の中で20番目に優れた打者だということが出来ます。
ちなみに2010年代ではシーズン60本塁打を放った2013年のバレンティン選手と昨年の柳田選手に次ぐ数字であり、間違いなく歴史に名を残す成績を現段階では記録していると言えるでしょう。
ちなみに上で比較していた95年のイチロー選手のRC27は9.44という数字。この指標で見る限りは今シーズンの山田選手の成績に軍配が上がるということになります。
まとめ
驚異的な大ブレークを果たした一昨年、歴史に名を刻んだ昨年に続き、山田選手は今年も素晴らしいペースで成績を残し続けています。
今回はRC27という総合指標を用いて歴代の強打者との比較を試みましたが、この順位はあくまでもこのままのペースで推移した場合の数値です。
一昨年は8月に、昨年は7月、8月、9月に三か月連続で月間MVPを記録するなど夏場に成績を伸ばす「夏男」の山田選手ならば、現在よりも更にペースを上げることも十分に考えられます。
打撃6冠、2年連続トリプルスリー、更には「フォーティ・フォーティ」の達成など、いくつもの「史上初」記録が期待される今年の山田選手。
今後もそのプレーの一つ一つから目が離せません。
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